著・夏目漱石/新潮文庫
「恋」の話である。九州の田舎から、大学へ行くために東京に来ることになった主人公、三四郎は、日露戦争に勝って勢いに乗る東京の真新しさ、せわしなさに戸惑いを覚える。その戸惑いは、東京で出会うさまざまな人間に対しても同様だ。とくに「女」である。最初から最後までいろいろな女が登場するが、この小説に出てくる「女」がことごとく三四郎には理解できない。田舎から出てきた三四郎には東京の「女」がわからない。そんななかで三四郎は、美禰子という女に恋をする。女たちの中でも最もわからない。かつもっともわかりたい、それが美禰子であり、その感情が恋だ。
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