不登校新聞

307号(2011.2.1)

不登校の歴史 第307回

2013年08月05日 15:46 by kito-shin
2013年08月05日 15:46 by kito-shin


フリースクールのスタッフは


 フリースクールスタッフへの調査は、120団体より150名の回答があった。最年長は72歳、最年少16歳、扶養家族がいる人は23・3%だった。常勤スタッフは50・7%、非常勤11・3%、ボランティアスタッフ30%。実働日数をきくと、週5日以上は42%、3~4日は22%、1~2日は33・3%であった。

 給与はどうなっているだろうか。最多は「無報酬」38%。以下、「固定給」34%、「時間給」が8%、「団体の収入に応じて」6%、「日給」2・7%の順に多かった。厳しい給与条件のなか、フリースクールを支えているという状況だった。

 有給スタッフのみに生計を聞くと、「団体からの給料を主たる収入として生活している」と答えた人が44・7%、「団体からの給料は充分ではないが、家族または同居人がいるので生活できる」23・7%、「団体からの給料を主たる収入としているが、充分ではないので副業を持っている」11・8%、「大部分が団体以外の収入となっている」11・8%。有給スタッフといえども、それだけでは生活できない人が半数以上という状態であった。

 そのような状況が反映しているのか、勤務年数を聞いてみると、72%が「5年未満」、「10年未満」20%。勤続年数を平均すると4年であった。経済的待遇がよくないなかで、平均4年間というのは長いと言えるが、さらに勤務形態別の勤続年数を見てみると、常勤スタッフは平均3・2年だったが、ボランティアの平均年数はそれを上まわる4年であった。フリースクールは、やはりボランティア的熱意で支えられてきたのである。

 そんな条件なのに、スタッフになった人たちは、どんな動機からなのだろうか。最多は「子どもと関わる仕事がしたかった」49・3%。以下、「教育問題に関心があった」43・3%、「不登校に関心があった」36・7%、「フリースクールのあり方に共感した」27・3%、が続いた。また、「自分の子が不登校を体験していた」(16%)、「自分がフリースクールに通っていた」(7・3%)など、家族や自己の体験がスタッフにつながっているケースもあり、団体種別で見ると「居場所」ではこの割合はもっと大きく上まわった。

 スタッフの前職は、教師18・7%、学生・初めての就職が16・7%、アルバイト13・3%、民間企業10・7%、主婦・主夫10・7%などであり、カウンセラーは0・7%にすぎなかった。

 スタッフをやってよかったことは「子どもが明るく元気になる姿を見ることができる」「やりがいを感じる」「価値観が広がる」が、いずれも6割以上を占めた。

 スタッフとして困っていることは、第1位が「団体の財政」であり、2位が「対応が難しい子どもについて」、3位が「やることが多い」だった。

 学校や学力については、「学校へ行く行かないは、子どもの意思を尊重すべきだ」は「そう思う」(76・7%)と「ややそう思う」(11・3%)をあわせて、88%を占めた。    (つづく・奥地圭子)

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