不登校新聞

495号 2018/12/1

不登校と子どもの自己肯定感、ほめる以外にもコツがあります。

2018年11月28日 17:19 by koguma





【質問】
最近、「自己肯定感」という話をよく聞きます。わが家にも不登校して1年になる息子がおり、「ふつうになりたい」と今でもよく口にします。自己肯定感が下がっているのかと思い、書籍を読んで、いろいろ試してみましたが、息子の自己肯定感が回復しているのかわかりません。子どもの自己肯定感についてはどう考えたらいいのか。また親としてできることは何なのでしょうか?

【回答】逆から考えてみましょう。「自己肯定感」を下げるには、どうすればいいかを、考えてみるのです。

 「ふつう」に近づけようとすればするほど、自己肯定感は低下します。なぜなら、「ふつう」とは架空の基準にすぎないため、近づきようがないからです。

 では、なぜ、そんな架空の基準を、わざわざ設けようとするのでしょうか。

 それを考えるためには、いったい誰が「ふつう」という基準を設けようとしているのか、基準を設けて得をする人は誰なのかを、問うてみることが重要です。

 いわゆる学齢期のお子さんの場合を想定してみましょう。子どもたち自身が、率先して「ふつう」の基準を設けたわけではないことは、明らかです。すると、先生や親が設けたのでしょうか。そうかもしれません。

 しかし、先生や親といえども、「世間」の空気を信じこんでつくった基準を、子どもに説いているだけのことが多いのではないでしょうか。

 友だちがたくさんいるのが「ふつう」、学校へ休まず遅刻せず通うことが「ふつう」、修学旅行や運動会への参加を楽しむことが「ふつう」などです。

 結局、子どもが「ふつう」に近づくとは、「世間」の空気に従っただけの大人の考えを忖度することにほかならず、その大人の考えの多くはオリジナルのものではない、ということになります。

ほめるより喜ぶほうが

 忖度ばかりしていると、将来は官僚くらいにしかなれませんから、人生は暗くならざるをえません。それこそが、自己肯定感の低下なのです。

 では、どうすればいいのでしょうか。

 よく、ほめることが自己肯定感を高めると言われますが、それはそのとおりでしょう。

 しかし、『不登校新聞』にも時々登場する発達心理学者の浜田寿美男さんは、「ほめるよりも喜ぶことのほうが大事だ」と指摘しています。

 浜田さんが挙げているのは、自分は家業の農業に従事しても、ほめられることはなかった。けれども、「役に立つ」と喜ばれた、という体験です。

 浜田さんの子どものころは、それが「ふつう」だったのかもしれませんが、今であれば大人のオリジナルな考えと言えるでしょう。

 私なら、とりあえず、友だちが少ないこと、学校を休んでいること、修学旅行や運動会への参加を嫌っていることのなかに、よい点を見つけほめるだろうと思います。

 すべて「自立」につながることだからです。大人のオリジナルとは価値観の転倒であり、子どもはその影響を受けて、自己肯定感を育むのです。

【プロフィール】
(たかおか・けん)1953年生まれ。精神科医。岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター・児童精神科部長。著書に『不登校・ひきこもりを生きる』(青灯社)、『引きこもりを恐れず』(ウェイツ)など多数。

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