不登校新聞

499号 2019/2/1

大人の大半が眉をひそめても、私がゲームを疎かにしない理由【フリースクール代表の方法】

2019年02月01日 10:07 by shiko




 昨年「北海道胆振東部地震」が起きました。函館も数日間、停電になり、フリースクールも1週間の休業を余儀なくされ、あらためて防災の大切さを感じました。

 そのひとつとして、電池式のポータブルラジオを購入したのですが、FMの感度が悪く、全然聴くことができません。困って調べてみると、リード線をアンテナにつなげるだけで、驚くほど改善することがわかりました。

 ラジオは、まず電池(エネルギー)を入れて動きます。動き始めてからチャンネル選択をするのですが、感度が低いと聴ける放送局が出てきません。

 感度が改善しても、検索には時間がかかり、ようやく聴ける放送局がわかります。そこでやっと、どの番組を聞くか考え選択するのです。

 これは、個別学習支援で行なっている「メンタルフレンドに似てるな」と思ったのです。私たちの学習支援も同じです。まずは、心も身体もエネルギーが必要です。

 エネルギーがチャージされて初めて、まわりが見渡せるようになり、自分のやりたいこと(やりたくないこと)を見つけます。そして、どうするか考え、選択するのです。

感度を上げるサポートを

 メンタルフレンドは「リード線」です。その子のアンテナにつながり、いっしょに感じる体験を共有するのです。

 大切なのは、「リード線」がチャンネルを選択しないのと同じように、感度を上げる以外のことはしない、ということです。

 それでも、そのときのようすや感じ方を把握することは、その子が物事の理解を深めるための支援を考えるうえで、とても役に立ちます。

 だから、いっしょに遊ぶことに意味があるのです。じつは、この「アンテナの感度」については元ネタがあります。

 思想家・内田樹さんが中学2年生の国語の教科書(教育出版)で指摘していることです。書き下ろしだそうで、教科書を読む以外に目にするチャンスはほとんどありません。

 ……こう書くと、ちょっと読んでみたいな、という気になりませんか。

 不登校になると勉強道具にいっさい触れないという話はよく聞く話ですが、こんなおもしろい文章を見逃すのはなんとも残念だと思います。

 日々の発見に関わるステキな内容に出会い、深める機会をつくろうとしたとき、学校で使う教科書が便利なことがあります。

 だから、私たちの学習支援では、利用者の希望に応じて教科書に沿った内容を行なうこともあります。成績向上やテスト対策にはなりません。

 前述の内田さんの指摘のなかにも、「学力というのは試験の点数ではない」と書いています(にもかかわらず、中学校の定期考査にその文章が出ることを思うと、なんとも滑稽ですが)。

 どうしても学習支援と聞くと、机に向かったり、決められた体験プログラムをイメージする方が少なくありません。

 ですから、私たちのフリースクールに見学に来られた保護者や先生方がまず驚くのは、子どもといっしょに「ニンテンドースイッチ」に熱中している私の姿ではないか、と思います。

 冷たい視線を痛いほど感じるときもありますが、本当に本人の興味や関心に基づく学習にするなら、まずは本人を知らなければなりません。

 私が子どもと一緒のときをすごす「メンタルフレンド」を大切にしている理由はそこにあります。

 だから、ゲームで子ども以上に悔しがっている庄司を見たときは、どうか「生あたたかい目」で見守っていただければさいわいです。(庄司証)

著者/(しょうじ・あかし)80年生まれ。「函館圏フリースクール すまいる」代表。不登校・高認・進学支援にとり組んでいる。元大学非常勤講師。

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