不登校新聞

499号 2019/2/1

「私はみんなの役に立てていない」なぜかハマる30代の罠【仮説なんですが】

2019年02月01日 10:15 by shiko
2019年02月01日 10:15 by shiko



連載「仮説なんですが…」vol.30

 仕事をするなかで、不登校の当事者から「自分の経験を活かしたい」「誰かの役に立ちたい」というフレーズをよく聞いた。けっしてきれいごとではなく、真摯な思いを私は感じた。

 しかし、そのフレーズを聞くたびに、共感と違和感が入り混じった複雑な気持ちになるのだ。

 共感のほうが強いのかもしれない。私も「誰かの役に立ちたい」という思いからこの仕事を志した。そして何より、現在は家族のなかで「役に立つ存在でありたい」と痛烈に思っている。

 私は夫と夫の両親と暮らしている。妻や嫁としての役割を果たさなければと思うが、その能力が私にはない。

 料理がキライだし、家には居ないし、家計の計算もできない。妻や嫁の仕事を、やらねばとは思うのだが……、「嫁業」の正解がわからず、フリーズしてしまう。

 私が高収入者ならいいのだ。一家の大黒柱として家族の役に立てる。しかし現実はちがう。仕事は忙しく家をおろそかにするが、給料は高卒の初任給にも満たない。また、私たち夫婦には子どももいないし、できる気配もない。

 「嫁」「妻」「社会人」の役割がまっとうできないこと、その後ろめたさが募ってくると、私のなかの常識センサーがけたたましく鳴る。

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