不登校新聞

536号 2020/8/15

特攻「回天」の基地跡で思う現代教育との共通項【8月15日号企画】

2020年08月27日 12:43 by shiko
2020年08月27日 12:43 by shiko

 西村秀明のコラムvol.1

 山口県の周南市には徳山湾に浮かぶ大津島という小さな島がある。そこには「回天」の基地跡がひっそりと海辺にたたずんでいる。

「回天」とは太平洋戦争の末期、戦局の悪化に伴い考案された人間魚雷と呼ばれる兵器である。

 潜水艇の機首には巨大艦も一撃で沈める威力のある爆薬がしっかりボルトで固定されていて、脱出装置はない。

 人間ごと敵艦に体当たりして爆死するか、失敗すれば自爆あるいは自沈という選択肢しかない究極の特攻兵器であった。終戦までの9カ月間で145人の命が海のなかに散っていった。

 出撃せず終戦を迎えた「回天」部隊に志願した方の証言――「この戦争は必ず負けると思っていた」が、「戦争批判は口にできなかった」。

 それは「不遜な考え」であり、「世間で一番厳しいタブーを犯すことになる」という信念であったという。

 教育は、死をもって国に尽くすのが民の義務と教えた。彼らは特攻について、「洗脳されたのではない」、「国や家族を守るための選択」であったと述懐している。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

今こそ問われる自己責任の社会、ひきこもりと生きる権利

538号 2020/9/15

増加する「発達障害」に思うこと【コラム】

537号 2020/9/1

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

616号 2023/12/15

「1日15分から働けるカフェ」、愛知県春日井市のカフェ「ワンぽてぃと」では、社…

615号 2023/12/1

今回は障害や気質によって髪を切るのが苦手な子どもに寄り添う「スマイルカット」の…

614号 2023/11/15

「学校や会社とつながることに必死だった」。今回は、不登校の子どもと親の会「Sw…