不登校新聞

541号 2020/11/1

私をいじめていた「あの子」に15年ぶりに会って感じたこと

2020年10月27日 14:19 by shiko

 今回執筆いただいた富良野しおんさんは、思いがけず自分をいじめていた同級生と再会したという。そのときの心の内を書いていただいた。

* * *

 去年の冬、私は私をいじめていた同級生と15年ぶりに再会しました。あれは仕事帰り、最寄り駅に着いたときのこと。

 改札へと向かっていると、ふと反対側のエスカレーターに乗っていた、1人の女の人と目が合いました。

 「どこかで見たことある人だな」と思い、よく見てみると、その人は小学生のころ私をいじめていた同級生でした。

 「あの子だ」と認識した瞬間、使い慣れたはずの駅が急に冷たく感じて、私の心に彼女とのイヤな思い出が一気によみがえりました。

自分を否定され

 私は小学6年生の夏休みの終わりに不登校になりました。学校へ行けなくなったきっかけは当時、同じクラスだった彼女からのいじめでした。

 彼女からは「あの子と話しちゃダメ」と行動を制限されたり、ほかの子と話すたび「私の悪口言ってたんでしょ?」と責められたりしました。私を否定する言葉ばかりが書かれた手紙を机に置かれたこともありました。

 はじめのうちは「あまり気にしないでおこう」と思っていたのですが、彼女の言動は日に日にエスカレートしていきました。

 しだいに彼女の存在に耐えられなくなり、気づいたときには、私は学校へ行けなくなっていました。

 学校へ行けなくなった原因である、彼女のことを恨んでもおかしくなかったと思うのですが、なぜか私は不登校中、彼女のことを思い出すことがほとんどありませんでした。

 別に彼女のことを許したわけでも、彼女からされたことを無理に忘れようとしたわけでもありません。きっと、当時の私は自分が生きていくことに必死だったのです。

 不登校になった原因よりも、これからの生活への不安のほうが大きくて「もう二度と会うつもりのない、彼女のことを考えている時間がもったいない」と心のどこかで思っていたのだと思います。

 彼女のことを思い出さない日々が続き、年齢を重ねるごとに彼女の存在は私のなかでどんどん小さくなっていきました。

 いや、小さくなっていっているのだと、15年ぶりに彼女に会うまで、私は思っていました。

消せない存在

 しかし、実際はたまたま駅ですれちがっただけで、彼女との思い出がよみがえるくらい、私は彼女を覚えていました。

 「今も、彼女は私のなかで消えていないんだ」と自覚した瞬間、やるせなさが込み上げました。

 すれちがうまでずっと目が合っていたので、もしかしたら彼女も私に気づいていたのかもしれません。

 「彼女は私に対して何を思っただろう。あれから彼女はどうやって生きてきたのだろう。私を傷つけたことを自覚しているのだろうか」と彼女とすれちがったあとも、いろんな感情が心に渦巻いて、なんとも言えない気持ちになりました。

 15年という時間がたっても、彼女に対して何かを思う自分にとまどいながら、私は駅をあとにしました。

 思わぬ再会を果たした日から「また会うかも」と数日、彼女の存在を意識していたのですが、そのなかで私にはすこし変化がありました。

 彼女を忘れていない自分に情けなさを感じていた私ですが、日が経つにつれて「そりゃ、忘れられないよね」と思うようになったのです。

 彼女の言動で私が傷ついたことや、そのせいで学校へ行けなくなったことは変わらない事実です。

 「彼女にされたことに私はずっと苦しんで、がんばってきた。だから、忘れられなくてあたりまえなんじゃないか。忘れることなんてできないし、忘れる必要もない」と、自分に対して思えるようになったのです。

 私と同じように、同級生の存在を忘れられず苦しんでいる人はたくさんいると思います。

 私自身もまだ、いじめてきた同級生の存在を忘れていませんし、片づけられない思いもたくさんあります。

 だからこそ、同じ思いを抱えた人に「忘れられないのは、あなただけじゃないよ」と、この記事を通して伝えたいなと思います。(富良野しおんさん・27歳)

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