NEETではない。Neat(ステキな)な人たち。本欄では、ひきこもっていたり、働くことや人間関係での葛藤を抱いていたり、社会への違和感を感じていたりする、そんなNeatな若い人たちの生の声を間いています。今回、Neatな人々で取材したのは市野善也さん(26歳)。現在、アルバイトで生計をたでながら「ひきこもり経験者」としてさまざまな市民活動に参加。市野善也さんにひきこもりから現在に至るまでの経緯などをうかがいました。
市野善也さんが生まれたのは愛知県名古屋市。3歳から幼稚園に通い、23歳まで大学に通った。この間、一度も不登校や自宅から完全に出られなくなったことはない。それでも、ふり返れば、いじめられることもあったし、それなりの体罰もあった。勉強も大変だったし、学校の抑圧的な雰囲気になじめないと感じることもあった。けれども、「学校には当然通うもの」という気持ちがあり、ひたすらに学校へ通い続けた。
もちろん、心の中には鬱々とした思いがあり、高校入学後まもなく、それが噴出した。突如として他人と話せなくなってしまったのだ。同年代の人はもちろん、家族ともほぼ会話がなくなった。「会話の仕方がわからなくなった」と言う。
鬱々とした思いは「自分は欠陥のある人間だ」という強烈な劣等感に変めった。
「自分は人間にとって必要不可欠な何らかの能力が欠けているのではないか」真剣にそう疑った。
「虐待を受けたわけでもなく、トラウマがあるわけでもなく、心身の障害があるわけでもなく、不自由は見当たらないのに自分は何もできない。それがつらいからといって、死ねるわけでもない」
それが当時の市野さんの心情だった。
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