不登校新聞

415号 2015/8/1

こころはくたくたでも見えない 田口ランディ

2015年08月11日 12:27 by kito-shin


親は笑っていればヨシ!vol.5


 「親は笑っていればよし、と言われても、じっさいに子どもが学校に行けなくなったら、心配で笑ってなどいられないです」。
 
 と、言いたくなるお気持ちはすごくわかります。ほんとうに、わかります。
 
 わたしの兄は、ひきこもりを10年したあとに失踪し、アパートの一室で亡くなって発見されました。死亡報告書には心不全と記載されましたが、衰弱死です。42歳でした。
 
 兄は、就職してもすぐ家に戻って来て長く勤められませんでした。私も両親も、ひきこもりが長くなるとだんだん不安になって、兄に「なぜ健康なのに働かないのか?」「甘ったれているんじゃないか?」「親の身にもなってみなさい」「働かない人間は一人前じゃない」「誰だって働いている」「働かざる者食うべからず」「お願いだから働いてください」「せめて職安にでも行ったらどう?」と、言い続けていました。
 
 それでも働かずに昼間は寝ていて、夜になると起き出して音楽を聞いたり漫画を読んだりしている兄に嫌気がさして、関係はどんどん険悪になりました。父は「俺たちはアイツに骨のずいまでしゃぶられて死ぬ」と言い出しました。母は「こんなことじゃ結婚もできないし世間さまに恥ずかしい」と嘆きました。家の中はいつもピリピリしていて、一歩、家に踏み込むだけで胸が息苦しくなるようでした。
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