「いじめ」をテーマにした本が多数あるなかで、いじめを受けた子どもの気持ちを克明に記しているのが本書の特徴です。いじめのきっかけから始まり、当時どんなことを考えていたのか、そして親に対してどんな思いを持っていたのか。子どもの内面を知るうえで、示唆に富む一冊と言えます。
不登校の子を持つ親が知りたいこと、それは「うちの子は何を考えているのか」ということでしょう。しかし、いじめが不登校するきっかけの一つである場合、そのことを「言葉」できちんと伝えるのは難しい場合があります。
本書に登場する一人はこう語っています。「ただでさえ惨めなのに、言葉にすることで、自分の惨めさを再確認してしまうから」。いじめとは、子どもの自己否定に直結する最たる原因と言っても差し支えありません。一人で抱え込み、苦しみ、逃げ場を失う。そのもっとも不幸な結果が、いじめ自殺です。
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