不登校新聞

354号(2013.1.15)

イベント「家族の闇と光」田口ランディ×月乃光司

2013年08月07日 15:09 by koguma
2013年08月07日 15:09 by koguma


田口 悩み苦しむ原因は 私たちの"思いこみ”だ

みなさんにお願いがあります、おもしろければ笑ってください――。昨年12月に東京で行なわれたトークイベント「田口ランディ×月乃光司・家族の闇と光」の冒頭、主催者の月乃光司さん(詩人・「こわれ者の祭典」代表)は何度も強調した。

当日、壇上に上がったのは、アルコール依存症、ひきこもり、自殺、神経症など、家族のなかで起きる問題に悩み、傷つき、ギリギリの淵をサバイブしてきたゲストたち。その体験談は壮絶でけっして笑い飛ばせるようなものではない。ところが、会場からは随所で笑いが起こる。「福祉イベントではないので」。そう語る月乃光司さんの思いが見え隠れする。

 いじめ、不登校、ひきこもり……

月乃光司さんの家庭は複雑だった。父は大手ゼネコンの営業部長を務めるエリート。母とは不仲で別居状態にあり、二人の姉は摂食障害と社会不安障害を抱えていた。自身は小中学校でいじめをうけ、高校で不登校になった。

4年間ひきこもった後、24歳のときにアルコール依存症と診断された。人格障害もあわせ、リストカットなどの自殺未遂をくり返した。精神科病棟には3度入院した。現在は会社員勤めをするかたわら、ひきこもっていた当時に着用していたパジャマ姿で、自作の詩を朗読するなどの活動をしている。

47歳、生きづらさを抱えながら生きる自分を「中年思春期」と自嘲するが、それを隠すことはしない。むしろ、それを糸口にさまざまな人とつながるなかで突破口を見出そうとしているように見える。「家族関係で悩まない人なんていない」、そう語る月乃光司さんの詩の朗読は、つながりが生んだ化学反応も相まって聞く人に届く。耳に痛くもあり、しかしながら滑稽である。それが共感と笑いをもたらすのだろう。
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