連載「仮説なんですが…」vol.2

 人は「狩猟民族」と「農耕民族」とにタイプを大別でき、生きづらさとは狩猟社会から農耕型社会への移行期に生じたズレに由来する。狩猟社会のハンターが備えていた野性的な感覚は、農耕型社会の延長に生まれた現代のシステムや人間関係にまつわる不快な社会的ノイズをまともに食らう障壁となる。原初的で鋭敏な感性を色濃く残したタイプがいま生きづらく(ときに「発達障害」と名付けられ)、精神を致命的に破壊される前に逃避を試みたのがひきこもりや不登校だ。何かが不足・欠落しているというよりむしろ「オーバースペック」なのである。農耕社会は1万年前、義務教育やサラリーマン社会が一般的になり始めたのはたかだかここ100年だ。狩猟採集社会は200万年続いたのである。そこで人類に刻み込まれた性質は本人がどうこうできる筋合いのものではない。
 
 と、ここまでの「生きづらいひと=狩猟民族」という仮説はじつのところ僕のオリジナルではなく、進化心理学や認知神経科学といった領域で語られてきた説の祖述にすぎない。

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