不登校新聞

487号 2018/8/1

夏休み中、不登校の子にしてはいけない約束とは

2018年07月31日 16:39 by koguma
2018年07月31日 16:39 by koguma



 夏休みが本格的にスタートしました。不思議なもので、この時期、昼間の街中で出会う子どもを見る大人の目がずいぶん変わります。

 ふだんであれば、「学校がある時間なのに、どうしたの?」と声をかける大人さえいるのに、夏休みというステキな魔法がかかった瞬間、街中を歩く子どもは、その背景にスッと溶け込んでしまうのです。子どもからしてみれば、先月の自分となんら変わらないのに、です。

毎日が夏休み?

 以前、私が取材した不登校経験者のなかには「学校へ行ってないから、毎日が夏休みみたいなものだよ」と、やや茶化した感じで当時をふり返る子どもがいました。

 では、不登校の子どもにとって、夏休みの時期は平時と変わらないのか。そんなことはない、というのが私の考えです。

 というのも、「みんなが学校に行っている時期に休む」のと「みんなが学校を休んでいる時期に休む」のとでは、精神的な負担感がまったくちがうからです。「そんなの当り前じゃないか」と言われてしまいそうですが、じつのところ、このちがいが、なかなか理解されていないように思います。

 不登校の子どもたちはいつも、外部刺激に対するアンテナをあらゆるところに張っています。家の電話が鳴れば、担任からの電話かもしれない。床屋に行けば、髪を切っているあいだに学校の話題をふられるかもしれない。このように、さまざまな場面で敏感になっていることがあります。

 ツイッターで先日、ある親御さんの投稿が2万人以上に拡散されていたので、本欄でも全文をご紹介します。『《拡散希望》お店や街の方々へお願いしたいこと。平日昼間に親子連れでいるのを見かけても、「今日は学校はどうしたの?」って聞かないで欲しいです。そっとしておいてください。うちの子は学校へ行っていません。行きたくても行けないのです』。

ダメな約束とは

 どの子も学校へ行かなくていい。昼間から街中を歩いていても目立たない。そんな夏休みは、不登校の子どもにとって、ふだんよりも心を落ち着かせることができる、つかの間の休息です。

 だからこそ、この時期にやってはいけないことがあります。「2学期から学校に行くよ」という約束を親子間で交わすことです。親の背後に漂う「学校に行ってほしいオーラ」を感じ取り、子どもが焦れば焦るほど、ついこの約束を交わしてしまうことがあります。

 2学期の始業日は決まっていますから、この約束を交わしたとたん、夏休みと同時に、再登校までのカウントダウンが始まります。相反する2つのことが頭にひっかかった状態では休めないどころか、かえって悪影響です。休むときは、中途半端に休まない。これがコツだと、私は思います。(東京編集局・小熊広宣)

関連記事

「僕には何もない」大学卒業を控えて焦る不登校経験者に専門家がかけた言葉

593号 2023/1/1

不登校校経験者が答えた親がすべきこと、してはダメなこと

523号 2020/2/1

子どもの摂食障害 背景にある苦悩への思いやりを

190号(2006.3.15)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

625号 2024/5/1

「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…