2005年10月、福岡市で、生まれてから18年間にわたって、わが子を家の中で監禁状態にしていた母親が逮捕された。
監禁だから、母親は娘を小学校にも中学校にも通わせていなかった。くりかえし家庭訪問する教員に、母親は、学校に行かせない理由を「障がいと、それにともなう症状があるため」と述べた。
なぜ、そんな虚偽を述べたのかは定かではない。明らかなことは、この虚偽の理由がプライバシーの壁と一つになって、9年間、教員も教育委員会も、児童相談所の職員も、地域の民生委員も児童委員さえも誰ひとり、子どもの無事な姿をたったの一度も確認できないという異様な結果につながったということだ。
児童相談所は、実際は目撃者はいなかったのだが、少女が遊んでいるのを見たという、あやふやな目撃情報を、自分たちの不安を打ち消す材料にしてしまった。
これらが、当初から異常事態を疑ってしかるべき理由があったにもかかわらず、一歩踏み込んだ対応をためらわせる理由となったのである。
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