2018年度の不登校の状況は、ひとことで言えば「学校復帰がゆるんだ」と言えるだろう。
さまざまなかたちの公民連携が進んだ背景には、2017年2月に施行された「教育機会確保法」があると思われる。
休みの必要性や学校外の学びの重要性を謳った法律ができたことが大きく、新学習指導要領にも初めて不登校への配慮事項が記載。
不登校自体が問題行動でないことや学校復帰のみを目標とするのでなく、社会的自立を目指すのだということ、個々の状況に応じた支援が重要であることなどが記載された。
地域差、学校差もあるが、親の会やフリースクールでは、学校がうるさく登校催促してくる悩みは以前より減っている。
また、9月1日前後に生じる自殺への関心も高まり、マスコミがこぞって「学校が苦しかったら休んでいい、学校以外の選択もある」と報道したことも、学校の相対化に影響を与えただろう。
フリースクールには、実際、小中学生の見学の親子が増え、とりわけ小学生の増加がめざましかった。
あちこちのフリースクールで小学生が増えている話を聞いたが、11月23日のフリースクールフェスティバルで如実にそのにぎやかな姿を目のあたりにした。
若いお母さんたちの感覚も、ひと時代昔、鬼のような形相で「学校へ行きなさい」と怒鳴っていた姿から「学校以外もありかな」と変化してきているのを感じた年だった。
それを裏づけるように、10月26日に文科省が発表した調査結果によれば、年間30日以上欠席の「不登校」の小中学生は、14万4000人。前年度と比べると、1万人も増加した。
とくに小学生の増加が著しかったが驚くべき増え方である。なお高校生も含めると19万4000人だ。
それと関連があると思われる「いじめ」の認知件数は、小中高あわせて41万件。前年度より9万件増えて過去最多となった。
とくに小学校低学年で増加しており、小1~小3だけで17万9000件(前年度4万5000件)が報告された。
増加の背景には、小さなトラブルもいじめとして把握し、早期対応することを学校に求めていることも関係していると考えられるが、まだほんの6歳や7歳の子たちが、安心して育っていない状況には胸が痛む思いだ。
なお、17年度に自殺した児童生徒数は250人で、過去30年間で最多。もっとも警察庁の統計によると、同じ期間に341人の子どもが自殺しており、学校と警察の把握件数に大きな差があった。
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