いじめ・不登校策 昨年度比29億円増
各省庁から来年度の概算要求が提出された。文科省はいじめ対策を重点施策にあげ、厚労省は「生活支援戦略」の一環として、ニート・ひきこもり対策を位置づけた。
カウンセラー 週5日常設へ
来年度のいじめ・不登校政策の予算としては文科省が要求した総額は88億円(昨年度比29億円増)。予算の大半を占めたのが、スクールカウンセラーの拡充事業。現在、スクールカウンセラーは全公立中学校約1万校に配置されている。しかし、配置日数は、週1日程度が原則。日常的な相談体制を整備するため、公立中学校のうち1000校を週5日配置に切り替えていく。そのほか、ソーシャルワーカーの配置拡充(1335人→2043人)、元警察官・教員等の派遣拡充(335校→670校)といった事業を「いじめ対策等総合推進事業」として69億円(前年比21億円増)の予算を計上。さらに「道徳教育の充実事業」も「いじめや不登校の未然防止」の一環として位置づけ、16億円の予算を計上した。予算の半分を占めるのが「新・心のノート」活用事業であった。
発達障害支援 38億円
発達障害者への支援政策は、文科省、厚労省、併せて47億円の予算が計上された(昨年度比25億円増)。文科省は「早期支援」と「自立」に重点を置き、「発達障害の可能性のある」児童生徒などに、240人のコーディネーターやアドバイザーを配置するなど、38億円の予算を計上した。
ひきこもり・ニート 42億円
厚労省は、ひきこもり・ニート政策として42億円の予算を計上(15億円増)。今年1月、厚労省は社会保障審議会の提言を受け「生活支援戦略(7か年計画)」を発表。生活困窮者として、ニート、ひきこもり、不登校、高校中退者、障害者、ひとり親家庭などを位置づけ、包括的な支援体制の構築に取り組む方針を打ち出した。
しかし、ひきこもり・ニート政策の新規事業として打ち出されたのは地域若者サポートステーションと学校の連携推進事業(16億円)、高校中退者に対する受講支援事業(1億2000万円)のみ。従来のニート・ひきこもり政策である地域若者サポートステーションの拡充(18億円/前年度比2億円減)、ひきこもりサポーター養成・派遣事業(7億円/前年度比同額)を継続するかたちとなった。
今後、概算要求は財務省が査定し、通常12月に「財務原案」を各省庁に内示する。財務原案で削減された予算については、各省庁が検討し、財務省と折衝。その結果を受けて、財務省は「政府予算案」として閣議に提出し、国会での予算案の可決を目指す。(石井志昂)
おすすめ記事
読者コメント