不登校新聞

288号(2010.4.15)

滝川市いじめ自殺 和解調書(編集部要約)

2013年11月22日 15:27 by kito-shin



北海道滝川市いじめ自殺訴訟 和解調書(編集部要約)


平成20年(ワ)第3814号 損害賠償請求事件

第1 和解の前提となる当裁判所の判断
1.  いじめ防止義務違反に基づく損害賠償請求に対する当裁判所の判断

①裁判所が各証拠によって認定した事実
 (友音さんへのいじめの有無など)

■松木友音(平成5年4月24日生まれ。以下・友音)は、小学3年生のころから同級生に避けられるようになり、小学5年生のときには同級生から「すごい気持ち悪い」などと言われた。

■平成17年4月、友音は、席替えの際、多数の同級生から「(友音のとなりになった)男子児童がかわいそうだ」と言われたり、同級生の男子児童から「うざい」と言われたりした。同月6日、友音は担当教諭にその旨を訴えた。

■7月14日、修学旅行の班分けの際、担当教諭が、自分たちで班分けを行なうよう伝え、友音は女子児童がいない班(男子児童ばかりの班)に入ることになった。なお、友音以外の班で女子児童が一人だけの班はなかった。

■7月20日、友音は、担当教諭に対し、同級生の女子児童3名に避けられている旨を訴えた。その後、担当教諭が仲裁に入ったが、友音と前記女子児童3名との関係が修復されることはなかった。

■8月18日、修学旅行の部屋割りの際、担当教諭が自分たちで部屋割りを行なうよう伝えたが、友音だけは部屋が決まらなかった。その後、担当教諭も交じって数回にわたって話し合いが行なわれた結果、友音は前記女子児童3名がいる部屋に入ることになった。しかし、その女子児童3名のうち2名は、担当教諭に対し、「どうでもいい」、「(友音と)いっしょになっても、しゃべらなくてもいいの」などと言っていた。

■8月31日の修学旅行の際、友音は、宿泊先のホテルで、教諭の部屋を訪ねてきて、「みんな窓に張り付いていて外の景色が見えないので見せて」と言った。しかし、外は真っ暗で景色は見えない状態であった。また、友音は、「部屋の鍵がない」と言って、自由時間に一人でエレベーターを使って上に行ったり下に行ったりをくり返していた。

■修学旅行後の初登校日である9月5日、友音は、前記女子児童3名のうちの1名に対して自殺を予告する手紙を渡し、9月7日、授業中にカッターの刃を出し入れして手首に当てていた。

■9月8日は台風のために臨時休校になったところ、9月9日早朝、友音は、6年生の教室で、教卓の上に7通の手紙(遺書)を残し、自殺を図った。そして、翌年の平成18年1月6日、死亡した。

* * *
②裁判所が各証拠によって認定した事実
 (自殺の予見可能性と被告の事後対応について)

 裁判所が認定した事実を総合すれば、友音は小学3年生のころから長期間にわたって同級生に仲間はずれにされるようになり、修学旅行に行くころには、その仲間はずれはより顕著なものになっていたが、担当教諭らは友音が同級生に仲間はずれにされていると認識していなかったと認められる。

 しかし、担当教諭らが友音を注意深く観察し、おたがいに情報を共有していれば、担当教諭らは友音が同級生にいじめられていたことを認識することができたはずである。よって、この点自体に過失 があったというべきである。

 そして、仮に担当教諭らがそのことを認識していたら、場合によっては友音が自殺する可能性についても十分予見できたできたというべきである。

 さらに、担当教諭らがそのような事態を予見したうえで、友音の訴えに、より注意深く耳を傾けたり、同級生に対してより適切な指導をしたり、あるいは原告や友音の叔父に対してそのような事態になっていることを連絡したりしていれば、今回のような事態にはならなかった可能性が十分にあると認められる。

 よって、被告らは友音の自殺によって生じた損害を賠償する責任を負わなければならない。

2.  調査報告義務違反に基づく損害賠償請求に対する当裁判所の判断

 各証拠によれば、友音が残した手紙(遺書)は7通ある。そのうち、「学校のみんなへ」という手紙(遺書)と「6年生のみんなへ」という手紙(遺書)は、その内容を読めば、友音が同級生にいじめられていたことを苦に自殺を図ったことを容易に理解することができるものである。

 そして、各証拠によれば、友音が通っていた小学校の校長及び滝川市教育委員会の教育長ら(以下、校長ら)は、友音が自殺を図った後、比較的早い時 期に、前記2通の手紙(遺書)の内容を把握したと認められる。

 しかし、校長らは、前記2通の手紙(遺書)の内容を把握した後も、下記のとおり、遺書の内容について把握していた事実と異なる報告をしたことが認められる。
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