連載「シングルマザーから見えるもの」
シングルマザーの現状はどうなっているのか。当事者、市民活動、有識者と、5回に渡って取りあげてきた。最終回となる今回は、シングルマザーと不登校の関係について、本紙理事の奥地圭子が執筆する。
「登校拒否を考える会」を開始して24年、「東京シューレ」を始めて23年、そのあいだに、とてもたくさんの一人親家庭と出会ってきた。
人にはいろいろな事情があり、状況がある。いつでも夫婦そろって子育てに向かえるわけではない。出会った一人親は、母親のほうがずっと多かったが、父親の場合もずいぶんあった。
その話を聞いていてまず思うのは、本当に大変ななかをよく踏んばって、生き抜いておられるなという思いである。
なかには、自分の生活や精神状態がぎりぎりであり、子どもにまで気持ちが向けられない、むしろ、子をうとましく感じてしまうというかたちにまで、追いつめられておられる場合もある。
それはそれで、いいことではないけれど、それだけのしんどい状況があって、本人を叱咤激励しても、より人を信じられなくなることが想定され、福祉や教育や医療や家庭外の応援が必要と感じる。
一人親家庭で子どもが不登校である場合、主として親はどう考えたらいいのだろうか。
まず、よく気にされているのが、離婚したから不登校になった、とか、一人親だから子どもが不登校になる、という言い方だ。それに苦しんだ方が多いと思う。
離婚は子どもの気持ちに影響はあることだと言えるが、子どもにとって学校が楽しく、行きやすく、居やすければ通っている。もちろん、「本当は子どもの話をあのとき聞いてやればよかったのに」「時間の余裕がなく、また、仕事や介護に疲れ果てていて、充分受けとめてやれなかったなあ、そのため本人はとうとう不登校になってしまった、私が悪いんだ」と、自責している一人親は多い。
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