不登校新聞

240号 2008.4.15

第3回 大矢さよ子さんに聞く(下)

2014年10月16日 15:21 by 匿名
2014年10月16日 15:21 by 匿名

連載「シングルマザーから見えるもの」


前号に引き続き、今回も当事者団体として問題にとり組んでいる「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の理事・大矢さよ子さんのお話を掲載する

――「自立」を強く求める政府の姿勢については?
 障害者にしても、高齢者にしても、ニートにしても、政府が訴える自立というのは、「経済的な自立」です。

 自立するためには生活の安定なくして成り立たないはずなのですが、いまの社会状況を見ていくと、がけっぷちに立っている人にも「とにかく自立しろ」と求めているように感じます。セーフティネットがないなかでの自立は、いずれは立ちゆかなくなります。だからこそ、児童扶養手当などの社会福祉は切ってはいけないのです。

 また、母子家庭での自立を考える場合、子どもとのバランスも重要ですね。とくに小さい子どもがいる母子家庭の場合、自立、自立と意気込んで一生懸命働いて収入を得たとしても、子どもと過ごす時間が少ないといった影響や矛盾はすべて子どもにいってしまいますから。

 子育てと就労のバランスが上手にとれているなかでゆっくりと自立していくという視点が必要だと考えます。現在はその点がおざなりなんです。

 それに、自立といっても先述したように、日本の母子家庭の就労率は84・5%。これは、諸外国の母子家庭の就労率と比較しても、ダントツに高い数字なのです。

 「母子世帯の母への就業支援に関する研究」という日本労働研究機構が行なった調査によると、イギリスで41%、アメリカで60%、高いとされるスウェーデンでも70%にとどまっています。日本の母子家庭のほとんどはすでに働いているにもかかわらず、その生活の多くは非常に厳しい。そういう状況で今求められていることは、就労における賃金格差や雇用格差の根本的な見直しなのです。

――すでに生活保護受給者における母子加算は減額されていますね。
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