全国不登校新聞社は2007年5月に創刊9年を迎えた。2008年は10周年になる。毎月2回全国に向けての新聞発行のほか、講演会、シンポジウム、本の発刊など、一貫して子どもの視点に立ちながら発信を続けて、よくぞここまできたものだと思う。その推進力は何より子ども・若者たちのパワーだ。ロジャー・A・ハートが言うところの、子どもがおとなとのパートナーシップ(共同決定・共同行動・共同責任)によってできる「参加」が当新聞社では実践されていると言える。そこでは子ども・若者が常に指導や管理の対象とされる学校や企業とはちがった関係のあり方が追求されている。
1989年11月20日、国連で子どもの権利条約が採択され、子どもの人権の時代到来と言われた。NPOすなわち非営利の市民活動として全国不登校新聞社の創立はその時代の要請に応えるものと言えるだろう。しかし、国内の状況は子どもたちにとってけっして明るいものではない。貧弱な福祉政策のもと、孤立した家庭で起こる子どもの虐待の悲劇は増加の一途を辿っている。児童福祉法改正で児童相談所と警察が権力的に危機介入する権限は強化されたが、傷ついた子どもの回復や自立支援のための予算の裏づけのある福祉的施策のプログラムは用意されていない。
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