不登校新聞

218号 2007/5/15

第4回 タミフルによる異常行動(下)

2015年04月23日 15:08 by kito-shin


連載「精神現象」


 タミフル問題が錯綜したのは、厚労省研究班が異常行動との因果関係を、統計を用いて否定したからだった。タミフルを服用したインフルエンザ患者と、服用していない患者を比較しても、数の上ではあまり差がみられなかったことが、否定の根拠とされていた。
 
 「癌との戦争」という隠喩が用いられる場合がそうであるように、医学的治療が国家防衛になぞらえて語られるとき、つねに登場するものは疫学(統計学的医学)だ。これをミシェル・フーコーは、難しい言い方だが「生―政治学」と名づけた。国家の操作する統計数値によって、人間の健康が管理される時代が到来した、という意味だ。
 
 統計数値が示されると、納得したような気持ちにさせられる。だが、そこでいったん立ち止まって考えたほうがいい。統計が示す数値が役立つのは、私たちの経験と一致する場合だけだ。ある穏健な精神科医は、学術集会の講演で、そう断言していた。また、統計数値を読むときに必要なのは「棒グラフの一番高いところだけだ」と言う人もいた。私の記憶にまちがいがなければ、これは著名な元・通産(現在の経産)官僚の言葉だ。
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