
連載「精神現象」
インフルエンザ治療薬タミフルと、異常行動との関係についての議論が続いている。報道に基づいて、経緯を整理してみよう。
インフルエンザ治療薬タミフルと、異常行動との関係についての議論が続いている。報道に基づいて、経緯を整理してみよう。
2004年に、タミフル服用後の幻覚や異常行動が複数報告されたが、他方では新型インフルエンザ対策のために国家備蓄が決定された。翌年には、少年2人の死亡などが学会で報告されるとともに、米国食品医薬品局によって日本の12人の死亡例が、公表された。ただし、因果関係については「否定的」とされていた。
06年には、厚労省研究班が、異常行動との関係に否定的な報告書を発表した。しかし、今年になって、少年の転落事故が相ついだことから、厚労省は10代への投与を控えるべきとの見解を発表し、因果関係の再調査を決定した。それにもかかわらず、新型インフルエンザ発生時の国の対策ガイドラインでは、タミフルを年齢にかかわらず、予防・治療用に使うとされた。その後、インフルエンザではない女児が、タミフルを服用後、家を飛び出そうとするなどの行動を呈していたことが分かった。また、遅ればせながら厚労省は、異常行動を起こした患者が128人にのぼるという事実を、公表した。だが、未集計分が、まだ多く残っている。
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