2016年5月10日、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案」(以下・確保法案)が国会に上程された。2016年4月27日にフリースクール、夜間中学校の議員連盟合同総会が開催され、確保法案は自民、公明、民進、大阪維新の各党から了承を得ていた。ただし付帯決議も盛り込まれる方針。
 
 議員連盟によると、確保法案の目的は、不登校児童生徒や夜間中学校に通う者などの教育機会を確保すること。3月11日の合同議連総会で公開された座長案(本紙430号に全文掲載)からのおもな修正箇所は第8条と第13条の2点のみ。
 
 確保法案の上程をめぐっては市民側の動きも活発に続けられた。
 
 確保法案の成立を目指す「フリースクール全国ネットワーク」「多様な学び保障法を実現する会」らは3月9日に記者会見を開催。「フリースクール全国ネットワーク」の奥地圭子氏は「子どもの状況は待ったなし、成立へ踏み出してほしい」と訴えた。さらに法案では学校外の学びの重要性が認められ、休養の必要性がうたわれるなど「子どもの現状を変える一歩になる」と、その意義を強調した。また「多様な学び保障法を実現する会」・喜田明人氏は「日本ではまったく未経験の制度を民間団体の意見も反映させながら設計していこうという大胆な理念が示された」と話す。
 
 一方、確保法案に対し白紙撤回などを呼びかける団体・個人らも4月15日に共同で記者会見を開催。し、不登校経験者、親、弁護士、フリースクール関係者など12名が発言。「子どもを追い詰めてきた不登校対策を法制化することは危険」(子ども相談室「モモの部屋」・内田良子氏)、「不登校を子どもの心理の問題として法的に定義することは問題」(「フォロ」・山下耕平氏)、「法案は教育の多様性を保障するものではなく、分離・分類教育の制度化であり、インクルージョン教育に反している」(中央大学・池田賢市氏)などの意見が表明された。記者会見の発言内容、今後のイベント情報などは各団体のHPでも閲覧可能。(本紙編集長・石井志昂)

■3月11日時点の座長試案からの主な変更点

『  』内=追加/「 」内=削除

■第八条(学校における取組への支援)
 国及び地方公共団体は、全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、児童生徒と教職員との信頼関係及び児童生徒相互の良好な関係の構築を図るための指導、『児童生徒の置かれている環境その他の事情及びその意思を把握するための取り組み』、学校生活上の困難を有する児童生徒の個別の状況に応じた支援その他の学校における取組を支援するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

■第十三条(学校以外の場における学習活動を行う不登校児童生徒に対する支援)
 国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様『で適切』な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当該不登校児童生徒の状況に応じた『適切な』学習活動が行われることとなるよう、当該不登校児童生徒及びその保護者に対する必要な情報の提供、助言、その他の支援を行うために必要な措置を講ずるものとする。