今夏に浦和で開催された「登校拒否・不登校を考える夏の全国大会」の講演抄録より、弁護士・多田元さんの講演料録を掲載する。
講演抄録「不登校、どう考えたらいいか」
私は一応弁護士ですが、不登校を経験した二人の息子の父親でもあります。
息子たちの不登校の時期には役に立たないダメ親父でしたが、息子たちから人間として大切な多くのことを学びました。それは、学校に行かない時期があったとしても、親や大人社会が子どもの命をつぶしてしまうような悪さをしなければ、子どもはその人自身の生命力で成長し、親を追い越していくもので心配無用です。このシンポジウムのテーマ「不登校をどう考えたらいいか」の答えはこれに尽きるわけですが、それだけで終わって帰ったら、かみさんに怒られます(笑)。弁護士の仕事柄、「権利」の側面に注目して考えたいと思います。
小中学生の不登校は約12万人。7000人増加したことについてはゆゆしき事態と言われますが、子どもは学校へ行くべきものという価値観へのこだわりが見えます。
義務教育について、最高裁の1976年の判例が有名です。「学ぶことは子どもの固有の権利である」と述べています。固有とは「もとから存在する」という意味もあるが「その者だけにある」という意味もあります。つまり、学びは一人ひとりのもので、学び方、何を学ぶかはそれぞれちがっていいという意味です。
憲法26条の義務教育は「普通教育」と書いていて、学校教育に限定していません。学校以外の色々な学びの場を法律で認めることを本来憲法が求めているとも言えます。
不登校は子どもが学校にフィットしないものを感じて学校から離れたことを意味しています。
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