「うちの子は、いじめられてもイヤだ、やめてと言えません。こんな弱い子どもは将来どうなってしまうのか。考えはじめると苦しくなります」――ある母親からそんな相談を受けた。けっこうこの種の声はたくさん届く。
「いじめられてもノーと言えない」という、たった一行のことばのなかに、じつにいろいろなことが含まれている。「いじめ」とは何ぞや。「いじめられても」の「ても」は、すでに一つの価値を含む言い方ではないか。「ノー」というのは、具体的にどういう態度を指すのか。「言えない」というけれど、「言えない」のか「言わない」のか、「言ってもムダだと思うから言わない」のか……などなど。理屈っぽく考えると、たくさんの疑問がわく。
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