連載「酒場の支援論」
夏の札幌はビール天国になる。駅前に、大通公園に、デパートの屋上に、大学に、そのほか、あちこちにビアガーデンが立ち、老若男女であふれかえる。なんといっても昼間から飲めるのがいい。ジョッキ片手に喉をうるおす。
酔った頭で考える。人はもっと無責任に他人とかかわっていいんじゃないか。数年前から、フリースクールスタッフのほかに、中学校で別室登校の生徒の相手をしている。「相談支援パートナー」なる制度で、有償のボランティアが市内の全中学校に配置されている。
受け持ちの生徒は午前中で帰る。それで、昼休みに相談室を一般開放した。特定の生徒専用の場所というのも気持ちが悪い。扉を開けておくと、ちょこちょことのぞきに来るヤツがいる。そのうち居ついて、昼休みのたび、家族のこと学校のこと、好きなもの嫌いなもの、楽しいことイヤだったことを思いつくまましゃべって去って行く。
卒業式の前日、よく顔を出す3年生数名が「相馬、なんとかなるって書いて」と卒業アルバムを持ってやって来た。これまで彼らの話にずっと「なんとかなる」と答えていたらしい。根拠はない。そもそも言った当人が覚えてないが、なにかの役には立ったらしい。卒業後も読み返すから書けという。
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