不登校新聞

522号 2020/1/15

中学3年で不登校になった女性が「好きなことだけ」して見つけた希望

2020年01月14日 12:24 by kito-shin


さゆりさん (撮影・矢部朱希子)

 不登校経験者・さゆりさんは好きなモデルのSNSを見るのが大好き。不登校になってからは、それだけが癒される時間だった。しかし「こんな現実逃避ばかりしてていいのか」と自分を責めることもあったという。

* * *

 不登校になってしまった子どもが1日中部屋にひきこもり、夜遅くまでゲームや「ユーチューブ」ばかり見ているようすを見て「うちの子はこの先どうなってしまうのだろう?」「好きなことばかりしていては将来がダメになってしまうのではないか?」と心配になってしまう親御さんも多いかと思います。

 だけど、それらのことが将来にとって本当に「悪いこと」「ダメなこと」と言い切れるのか、私は疑問です。

 私は中学3年の夏休み明けから不登校になりました。「ふつう」に学校へ通えていない自分に対してつねに罪悪感を抱えていました。

 「両親に負担を掛けてしまった。なんて自分はダメなんだ」と葛藤する毎日でした。逃げるように両親を避け、部屋にこもり、好きなモデルさんのSNSや「ユーチューブ」を見て心を癒していました。

 でも、心のなかは複雑で「高校も決まっていないのに、このまま好きなことばかりをしてちゃダメだ」「現実ときちんと向き合わないといけないのに、私は何をしているんだろう」と自分がイヤになることもたくさんありました。

 そんな葛藤だらけの自分にとっては、大好きなモデルさんを見ることだけが唯一、イヤなことを忘れて心が満たされる瞬間でもありました。

 今のつらいことを忘れるために好きなことに没頭して、いわゆる現実逃避をしていたのだと思います。

 そんな生活を続けていたある日、いつものようにSNSや「ユーチューブ」を見ていると、 たまたま私が応援しているモデルさんが高校で授業を受けている風景が流れてきました。

 そこで私は初めて通信制高校の存在を知りました。「こういう選択肢もあるのか! 自分の好きなことが活かせるかも」とすぐに興味を持ちました。

 またそのモデルさんには不登校経験があり、いまは通信制高校に所属しながらモデル業をがんばっているということも知り、自分自身とすごく重なり「私も前に進んでみよう」という気持ちになりました。

自分自身と向き合う時間

 そんなことがあってから、私にとって現実逃避の時間は、自分は何が好きで、何がしたいのかを考える、自分自身と向き合う時間にだんだんと変わっていきました。

 そして「自分の個性や経験や好きなことを大事にしてくれる学校へ行きたい」と思うようになりました。

 それから、さきほどのモデルさんが通っていた通信制高校のオープンキャンパスに行きました。

 そして不登校経験をした先輩から「私も学校へ行けてなかったけど、今すごい楽しいから大丈夫だよ!」と言ってもらえました。

 その言葉を聞いたとき、私はひとりじゃないんだと思えるようになりました。

 実際にその通信制高校に入学後は、私自身がオープンキャンパスに来る中学生を迎える側になりました。

 不登校している中学生や親御さんに、自分の経験を話すと、表情が明るくなったり、自分の子どもと重ねて泣いてくれたりした親御さんもいて、私自身が誰かの役に立てているんだと実感できてすごくうれしかったし、不登校の経験はムダではなかった、ということに気づきました。

 このように私が自分で自分を肯定できるようになったのは、好きなことに没頭し、現実逃避をすることによって自分にとって最適な環境を見つけられたからだと思っています。

 もちろん私の経験だけでは説得力がないかと思いますが、ほかにも不登校中に音楽に夢中になっていた友だちが、今はシンガーソングライターとしてがんばっていたり、ゲームを通して知識を身につけた人がゲーム制作に関わる仕事をしていたり、不登校中にしていた好きなことが仕事になっている方に私はたくさん出会ってきました。

 好きなことばかりをしていて部屋にこもる子どものことが心配になってしまう気持ちもわかりますが、その好きなことが将来につながることも充分にある、ということも、知っていただけたらと思います。(不登校経験者・さゆり・19歳)

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