不登校新聞

546号 2021/1/15

皆勤賞だった僕が不登校になるまでに起きたこと

2021年01月19日 12:39 by koguma


たいきさんが通っている「フリースクールネモ」のようす

 2020年11月23日に開催されたオンラインシンポジウムの講演抄録を掲載する。主催は「フリースクールネモ」。小学生と中学生の子どもが自身の不登校やフリースクールに来てからのことなどを語った。

*  *  *

 はじめまして。名前は、たいきです。15歳です。僕が不登校になったのは小学5年生の冬休みに入る直前でした。それまでずっと皆勤賞だったので「あぁ、途切れちゃうな」と思ったのをおぼえています。

 小学校でソフトボール部に入っていたんですけど、先生の期待がだんだんプレッシャーになってきてしまって。まわりに気軽に相談できるタイプじゃなかったから、自分のなかにどんどんストレスが溜まっていってある日爆発した、という感じです。「爆発した」と言っても、モノを投げたりということはけっこう時間が経ってからでした。最初のころは、とにかく怖かったんです。朝起きた直後に「学校へ行きたくない」って思っちゃう。皆勤賞がチラつくから、なんとかがんばろうと思うんだけど「怖い」という気持ちがぬぐえなくて。

身体が重くて

 中学生になり、4月なかばごろまでは中学校に通っていたんですが、しだいに行けなくなりました。

 まわりは優しいし、小学校のときのような理由もなくなったけれど、身体がだんだん重くなっていく感覚がずっとあって。「明日は学校だ」と考えるだけで気がめいってくるんです。なぜ学校へ行けないのか、その理由は今でもよくわかりません。

 フリースクールという場所があるということは知っていたんですけど「イヤだ、絶対に行きたくない」と思っていましたね。ただ、中学1年生の終わりごろに「行ってもいいかな」ってふと思ったんです。「フリースクールネモ」の体験見学に行った日に「あ、僕はここに通うだろうな」ってすぐに思いました。それまではずっと家に居て、学校や将来のこととか暗いことばかり考える毎日だったんですが、「ネモ」ですごすことでそういう時間が少なくなるんだろうなって。

 「ネモ」に来た当初は緊張しっぱなしだったんですけど、同年代の人たちが話しかけてくれるうちに、しだいとまわりとも打ち解けられたと思います。ただ、いま思うのは、いちばん大事だったのは「時間」だったんじゃないかなと思います。「どっか行ってみようかな」とか「人と話すのが楽しいな」と思えたのも、そういうことを僕のなかで受けいれられるだけの時間があったということ、これが大きかったのかなって。「フリースクールなんて行きたくない」と思っているときに親に連れて来られたとしても、僕は絶対行かなかったと思うから。

 「ネモ」では、ゲームをしたり、おしゃべりしたりしてすごしています。僕にとってゲームは「逃げ場」という感じです。ゲームをしているあいだは、イヤなことを考えずにすむ。もし、ゲームを取り上げられたとしたら、やることがなくなってしまって、さっき話したような暗いことばかりを考える時間が増えて落ち着かなくなると思います。おしゃべりだって、話題の大半はゲームのことばかりなんだけど、共通の話題を話せる人がいるっていうのはとても楽しいですね。

 「ネモ」に通うようになったことで「顔が少し明るくなったね」とまわりから言われることが増えました。家に居たころと比べたら活舌もよくなったし。これって「ネモ」で成長したというより、自分のなかでそれまで退化していたものが戻ってきたという感覚がいちばん近いです。

 最近では学校の先生とも会うようになったし、放課後に学校へ行くようにもなりました。以前は断固として拒否していたんですが、なんていうか「勢いで行っちゃえ」という感じ(笑)。そういうふうに変わってきたのも、楽しいと思えることを「ネモ」でいろいろ経験したからだと思います。

 気持ちが変わっていったり、心のモヤモヤが晴れるまでの時間って人それぞれだと思います。僕自身「ネモに行こう」と思うまでに1年かかりました。だからこそ、どんなに時間がかかっても焦らず「最初の一歩を踏み出してもらえたら」と思う。それが今悩んでいる人に今の僕が伝えられることだと思います。(たいき・15歳)


■「フリースクールネモ」って?

 「フリースクールネモ」は千葉県習志野市と市川市で活動するフリースクール。現在は入会金を半額(3月末まで)にしているほか、運営団体である「ネモネット」が実施している対面での有料個人相談を無料(10月末まで)にするなどの事業に取り組んでいる。

【連絡先】

住 所 〒275-0012 千葉県習志野市本大久保3-8-14-401
電 話 047-411-5159

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