埼玉県北本市立中1年の中井佑美さん(当時12歳)が自殺したのはいじめが原因だったとして、両親は北本市と国を相手取り、計2000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。「いじめ防止義務」などを怠ったとして、学校や市教育委員会の責任を追及するほか、成果主義の導入や不登校政策など文科省の施策がいじめ自殺や隠ぺいを助長したとして国の責任も問う構えだ。
訴状によると、佑美さんは小学生のころからいじめにあっていた。小学校6年生のとき、「キモイ」「うざい」「死ね」などと悪口を言われていたため、母親は担任教師に注意をするよう要請。担任は佑美さんと同級生2名を交えた話し合いの場を設けた。しかし、その後、佑美さんは同級生2名らにトイレへ連れ込まれ「便器に顔を突っ込め」と言われるなど、いじめは深刻化した。中学校へ進学すると、さらに深刻化し、悪口や無視、靴を隠されるなどのいじめを受けていた。そして2006年10月11日、午前8時20分ごろ、佑美さんは8階立てマンションの屋上から飛び降りて亡くなった。
佑美さん自殺後、佑美さんの仏前で謝罪をする生徒もいたが、「いなくなってせいせいした」と話す生徒がいたり、佑美さんの机に「see you,the end」と書かれていたりするなどの状況があった。また、佑美さんのいたクラスは、自殺後もほかの生徒の机がぐちゃぐちゃにされるなどのこともあった。
国、市の責任を問う
原告は、文科省の不登校政策や成果主義の導入といった施策などが「いじめ自殺や隠ぺいを助長した」(代理人・児玉勇二弁護士)とし、その責任を問う。
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