連載「酒場の支援論」


 秋だ。日本酒だ。ひやおろしだ。サンマの塩焼きをつまみに飲む。お猪口に口をつけると、透明な日本酒にサンマの脂がスーッと浮かぶ。皮ぎしの塩っ辛さとはらわたの苦みが、やわらかい酒にあう。
 
 酔った頭で考える。学校の先生から質問されることがある。不登校の生徒に連絡を取ったほうがいいものかどうか。「ケース・バイ・ケースですが」と断ったうえで、こう答える。「恋人から、しばらく距離を置きましょうと言われたと思ってください」。
 
 しばらくとはどれくらいか。理由は教えてもらえないのか。メールならどうか。食事に誘うのはダメだろうか。忘れ物を届けるだけならいいのじゃないか。おそらく、いろんなことを考える。ところで、それは誰の気持ちですか。たくさん理屈をつけたところで、要は自分が会いたいだけじゃありませんか。距離を置きたい恋人の気持ちを無視していませんか、と。
 
 子どもが学校に来ないのは、いろいろあって学校と「しばらく距離を置きたくなったから」と考えられないか。恋人の気持ちを無視して追っかけまわせばフラれるでしょう。子どもだって同じはず。
 
 または保護者からこう質問されることがある。
 
 子どもが学校へ行かなくなった。朝は起きないし、ごはんのときも降りてこない。風呂に入るのもおっくうがり、床屋へも行かない。どうしたらいいだろか。そんな話が出たときは、最近はこう答えることにしている。


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