現在、小学校2年生で不登校している子の母親にお話をうかがった。
――不登校が始まったころの話を教えてください。
昨年4月7日が入学式でした。本人は入学式前から、ピカピカのランドセルや「拾ってきた」という謎のワンピースを着るのを楽しみにしていました(笑)。
ところが入学式の夜、私に耳打ちしてきて「明日からもう学校は辞めるね」と。
突然のことすぎて内心吹き出しちゃいました。入学式後からは母同伴で始業前の朝の会にだけ出る日々が始まりました。
――本人は何がイヤだったのでしょうか。
娘が言っていたのは学校は「忙しすぎる」「準備が遅くなると怒られる」「人がワサワサしていて落ち着かない」「怒鳴られてる人がかわいそう」「心がブルブルする」などです。
予測不能な怖さ
体育や運動会などで先生が大声を出すことには本気でおびえてました。入学以前だと大人の大きな声を聞くのは命に危険があるときぐらいです。たとえそれが自分に言われていなくても緊張感や恐怖心を感じると思います。
しかし学校ではそうした状況が、本人からすれば理由もわからずに多発する。娘はコントロールできない恐怖感を「心がブルブルする」と表現したんじゃないかと思うんです。
――親としてはどう思われていますか?
本人は学ぶこと自体は好きなんですが、「いまの学校」と「学ぶこと」とのあいだには大きな溝があるなと感じました。
娘がリレーの選手に選ばれたとき、練習がきつくて3回も給食を吐いてしまったことがあったんです。3回も吐くまで先生は練習を辞めさせてくれませんでした。また、娘といっしょに学校へ行った際、先生が「足をバタバタさせない」「髪は触らない」など、つねに一挙手一投足を特定のクラスメイトに注意しているのも目の当たりにしてきました。
もちろんいい先生もいますし、校長先生なんかとってもステキです。でも、いまは週に1回、放課後に学校へ行き、先生と会って宿題を見てもらい、そのほかはフリースペース「えん」などに通うという付き合い方を本人はしています。
“従いたくない”
先日も、運動会のお誘いが学校から来た際は、4日ほど本人が考えてから「行かない」と結論を出しました。理由は「従いたくない」からだそうです。小学校2年生の子どもとしては「従うこと」もできるほうだと思いますが「指図や命令に従いたくない」そうです。
――親の支えになったものはありましたか?
不登校経験者の知人がいたことは大きな支えでしたが、一番は娘自身の伝える力でした。娘は自分の気持ちを絵や言葉でなんとか伝えようとします。「苦しい気持ちを伝えてくれるならば死んでしまうことはない」と私自身が思えたことが大きかったです。
――ありがとございました。(聞き手・石井志昂)
読者コメント