連載「仮説なんですが…」vol.24
どれだけ隠しても本音はもれる。「学校へ通うのは当然」「学校に行けないよりは行けたほうがいい」。そういった「常識」は私たちのなかにずいぶん深く根を下ろしていて、拭い去ったつもりが、思わぬところで顔を出す。気をつけたいのが「えの段」だ。
「学校に行けない」「教室に入れない」「朝、起きられない」「誰とも会えない」。それぞれ「行かない」「入らない」「起きない」「会わない」で一向にかまわない。なのに、なぜか「えの段」の言葉が入ると、そこに可能の意味がつけ加わる。
本人が言うならまだわかる。保護者や教師はどうか。できると思ったが無理だった。期待したがダメだった。いくら口では「ありのままを認める」などと言ったところで、本音が「えの段」からにじみ出ている。子どもは敏感に察して、ますます自分を責めるだろう。うっかりもらしたら「えの段」が状況を悪化させる。
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