不登校新聞

195号(2006.6.1)

禅寺で修行中の不登校経験者に聞く

2018年12月03日 15:36 by shiko



 今回、取材したのは土山敏宏さん(26歳)。中学2年生から不登校を始め、22歳のとき「新しい生き方を提示してくれた」という茶道と出会う。それが縁で現在は奈良県にある禅寺で、手伝いを兼ねて居候をしている。これまで、どんな経緯をたどってこられたのかをうかがった。

 * * *

 田んぼを横目に長い坂を登ると、深い木立のなかにひっそりと立つ庵がある。庵のなかはとても静かで、車の音も聞こえず、のんびりと猫が餌を食んでいた。ここは奈良県の山あいの町にある禅の庵。土山敏宏さんの居候先だ。

 住職は碧眼の老僧。土山さんによると「和尚は説教をたれるのでもなく、経を読むのでもなく、ただただ日暮らしされているが、なんとなく和尚の放っている静けさに安らぎを覚えます」。

 ヘビースモーカーで、アメリカ国籍という住職だが、その透明感のある雰囲気に気品を感じずにはいられない。新しい寺で檀家は一軒もないが、地元の支援者などによって支えられているという。これも住職の人柄ゆえだろう。

 土山さんが居候を始めたのは2005年11月から。炊事、洗濯、掃除など、住職のお手伝いをしている。日々、庵の茶室でお茶を点てて喫み、坐禅もする。

 土山さんは兵庫県出身で、中学2年生のときに不登校。地元のフリースクールに通い15歳で卒業。自然農を実践する川口由一さんの著書を読み、その深い精神性に大きな影響を受けた。

 17歳のとき「20歳までなら」と淡路島の空き農家を無料で貸してくれる話が舞い込んできた。もちろん土山さんはこの話に乗っかり、念願の田舎暮らしを始めた。

 だが、そんな暮らしにも安住できない。「不登校をして、社会のレールから外れて自由になっても、内なる自由を得ていない。まだ何かに集中して取り組める精神状態じゃなかった」と土山さんはふり返る。

 

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