不登校新聞

519号 2019/12/1

晴天の霹靂だった「孫の不登校」、葛藤のなかでつかんだ私の方針

2021年04月20日 16:44 by shiko

 祖父母が子育てに関わることが増え、「孫の不登校」に悩む祖父母も増えてきました。祖父母にとって孫の不登校は、時代がちがうことや親とは異なる孫とのかかわり方を求められるため、戸惑うことが多いものです。木内孝子さん(仮名)はどのように「孫の不登校」を考えられのでしょうか(登校拒否・不登校を考える全国ネットワークのシンポジウム抄録)

* * *

木内孝子さん(仮名)の話

――まずはお孫さんの不登校からお聞かせください。

 孫は小学2年生で、私が住む家からは1時間程度のところに住んでいます。小学1年生の1学期ごろから行きたくないと言い出したそうです。昨年の夏、息子夫婦にもう一人、子どもが生まれたのをきっかけに、孫の不登校を知りました。というのも、赤ちゃんのお手伝いに行くと、平日の昼間にいつも孫が家にいたからです。「おかしいなあ」と思って嫁に聞くと「じつは学校に行ってないんです」と。びっくりしちゃって「行かせなきゃだめよ!」と強く反応してしまいました。

 私はどうにかしなければと、孫の登校時間に合わせて朝6時に家を出て息子夫婦の家に毎日、行くようにしました。でも私が来たからといって学校には行ってくれないんですよね。1年生のうちは半分くらい登校していましたが、今年の5月連休を境にぴたっと行かなくなりました。そのころには、朝、食べたものを吐くようになってしまったんですね。それを見てると孫がとても不憫でした。そこで友人に相談にしたら「まったく心配いらない。勉強はほかに手段がいっぱいあるし、大丈夫よ」と言って『不登校新聞』を紹介してくれました。

私が居場所に

――『不登校新聞』を読んで変化はありましたか?

 新聞で「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」の存在を知り、夏の全国大会にも参加してみました。そこには小学校時代に不登校をして立派に育った経験者がたくさんいて、お話を聞きました。経験者のおひとりは、子どものころ自転車がすごく好きで、毎日、自転車でおばあちゃんのうちに通っていたんだそうです。「おばあちゃんと手をつないで土手を散歩するのがすごく楽しかった」と。それを聞いて、私もただ「学校へ行け」って言うんじゃなくて「自分が孫の居場所になれればいいなぁ」と、そんなふうに思うようになりました。


――お孫さんとの関係に変化はありましたか?

 あるとき孫から「ばあばはどうして毎日来るの」と聞かれました。子どもってすごく鋭いんですね(笑)。それからは無理して会いに行くのはやめ、自然体でつきあっています。孫はうちに来るとおもちゃを目的にお散歩をせがみます。私は、そのたびに手をつないでスーパーへ行って買ってあげています。「甘やかしてる」とも思いますが、やっぱり孫はかわいいし、私の立場だからこそ甘やかせるんじゃないかなと思ってつきあっていますね。不登校は私にとって遠い話で、身内から出るとは思ってもいませんでした。

 祖父母の私たちは、孫の成長を見届けられないかもしれないと思うからか、結論を急ぎすぎちゃうんですよね。「小学校から行けないなんて、この子の将来はどうなるんだろうか」と心配してしまうんです。でも、不登校は特別ではなく、親の会なども知っていれば、あんなに悩まなかっただろうと思います。ましてや「無理やりにでも学校へ行け」なんて苦しいことを孫に言わなかっただろう、と。息子夫婦は私以上に苦しみました。だから、孫だけでなく親も孤立させないことがすごく大事だと思っています。仲間がいると知るだけでも気持ちが楽になりますし、もう少し広い観点から子育てを考えられるようになると感じています。


――家族のひとりでも不登校についてよく知るようになると、家の空気が変わってきますよね。

 孫の最終目標は学校に通わせることではなくて、自立させることだと胸にストンと落ちるようになりました。でも幼稚園には元気よく通っていた孫が、どうしてこうなっちゃったのかなと、やっぱりいつも思うんです。せめて小学校1年生は、遊び中心の生活から勉強に変わるように移行期を導入してくれれば、夏休み明けから行きたくないという子も少なくなるんじゃないでしょうか。また、不登校の子は自助努力で勉強していかなければなりません。経済的な支援があって、学校以外の場所を選択できたら、子どもものびのびできるのではないかとも思っています。(了/編集・赤沼美里)

【プロフィール】
東京都在住。現在、小学2年生の孫が不登校。不登校当初は息子とともに学校復帰について悩んでいたが『不登校新聞』の購読を機に考えが変わっていったという。

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