「不登校に至る重大ないじめの大半は見過ごされていた可能性がある」として、不登校支援に取り組む3団体らが10月18日、文部科学省で記者会見を行なった。不登校の理由としての「いじめ」を挙げる割合が学校と子どもで最大85倍の開きが生じていることの意味とは(※写真は記者会見のようす)。
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10月18日、Branch、キズキ共育塾、全国不登校新聞社の3団体と東京電機大学・鈴木翔准教授が文部科学省にて合同で記者会見を開いた。
同省が今月4日に公表した「問題行動調査」によると、過去最多となった29万9048人の不登校児童生徒のうち、「いじめ」が理由だった者は小学生で0・4%、中学生で0・3%だった。他方で、同省が令和2年度に不登校当事者を対象に行なった「実態調査」では、不登校の理由に「いじめ」を挙げた小学生は25・2%、中学生は25・5%だった。学校と子どもの認知に、小学生で63倍、中学生で85倍の開きがあることになる。
認識のちがいが意味するものは
不登校の理由に「いじめ」を挙げる割合が学校と子どもとのあいだで大きな開きがあることについて、鈴木翔准教授は「2つの調査を単純比較はできないものの、これだけの開きがあるということは、学校が回答する調査ではいじめを不登校の要因とする児童生徒数を過少に評価している可能性がある」と指摘した。
そのうえで▼不登校要因における回答項目数の制限を外すこと▼教員以外に保護者などが不登校要因をチェックし、回答結果に反映させること▼不登校当事者への調査も別立てで実施すること、などを今後の改善点として挙げた。
全国不登校新聞社・石井しこう代表理事は「いじめをめぐり、学校と子どもの認識の差がこれほど大きいことは、深刻ないじめが万単位で見過ごされている可能性がある」と指摘した。また、子どもを守るための改善点として▼いじめは大人から見えづらく、結果的に見過ごされやすいという前提を学校と保護者に周知すること▼違和感をおぼえたら、子どもの安全確保(適切な休息)に周囲の大人が取り組むこと、などを挙げた。(編集局・小熊広宣)
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