渋谷遺体切断事件の両親の手記が、新聞紙上に掲載されていた。「(妹の)他を顧みない自由奔放な性格と言動は、家族から理解されていなかった」、「(兄は)妹が両親を悩ます元凶と思いこむようになったのではないか」、「(妹が兄に)謝ってさえいてくれれば……このような凶行にいたらずに、すんだのではないか」という内容だ。
死んだ後になってまで、妹は悪者扱いされている。それなら、私も次のように言ってみたくなる。妹の友人の話によれば、妹は家出をして男性と同居していたが、後に自宅へ連れ戻された。そのころの彼女は目標を見つけられず、自暴自棄になっていた。彼女は友人から芸能事務所を紹介され、劇団の魅力を知るようになってから明るくなった。つまり、妹は、やっとの思いで歯科医一家の呪縛から、逃れようとしていたのではないか。だから、密かに慕う兄に対して、あえて「歯科医になるのは人のまねだ」「夢がないね」という言葉を、投げかけたのではないか。
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