不登校新聞

216号 2007/4/15

自死を選択する子どもの気持ち 安住磨奈

2015年07月07日 16:05 by kito-shin


 初めて週刊誌に連載したエッセイの第1回目で、16歳だった私は「自殺」をテーマにした。86年、東京の中学2年生・鹿川裕史くんがいじめを苦に亡くなり、その2カ月後にはアイドルの岡田有希子さんが飛び降り自殺をし、それに連鎖するように子どもの自殺が急増した年とセンセーショナルに報道されていたからだ。
 
 細かな内容は、正直に言うと忘れた。
 
 ただひとつ、「命は尊いとかんたんに口にしないでくれ」とは書いた覚えがある。"死にたいほど”つらいところにま で追い詰められたギリギリの心があり、または肉体的には生きていても殺し続けている感情があり、あるとき石につまづいて転んだくらいのことでも人は死ぬ、それには子どもも大人も関係ないと私は書いた。
 
 ゲームばかりやっているから命に対するリアリティが足りないだとか、核家族化したことで死の概念が薄れただとか、今とそう変わらない解説が飛び交っていた。女の子が二人で飛び降りる事件も続き、それが"流行っている”かのように分析され、また忘れられていくことに、憤っていた。
 
 今でも、遺書があろうがなかろうが、"死にたいほど”苦しい状態から実際の死を選んだ葛藤をそれこそ軽んじている人たちが、簡単に「たったひとつの命は尊い」と言ってのけるように感じる。
 
 毎日のように人に殴られ、人を殴り、傷つけられ、傷つけかえしていた私は、人によってはそれこそ「死んだほうがマシ」な日常を生きながら、13歳のある日、どうでもいいつきあいだった友だちとケンカしたあと、左手首を切った。
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