不登校新聞

474号 2018/1/15

不登校に「なんで行きたくないの」と聞くのが地雷である理由 『不登校新聞』記者コラム

2018年01月15日 14:53 by koguma
2018年01月15日 14:53 by koguma



 わが子が不登校になったとき、その原因を知りたいと思うのは、親であれば当然です。原因さえわかれば対処方法もわかるし、それを取りのぞけば学校にすぐに戻れるかもしれないと考えるからです。

 しかし、子どもの気持ちから考えた場合、そう単純ではありません。むしろ、なぜ行きたくないのか、何がイヤなのかというように、「なぜ(why)」や「何が(what)」の2つをあれこれ聞き出そうとすると、かえって子どもを追い詰めてしまうことがあります。不登校の理由を「これだ」と断言できるとは限らないからです。また、不登校直後は、子どもの気持ちも落ち着いていないため、言葉で伝えるのが難しい場合があります。さらに、言葉にできるとしても、子どもが今それを話したいと思っているかどうかは別問題ですし、親を納得させようとして、「とりあえず」の理由を紡ぎ出す場合もあります。

原因探しがプレッシャーに

 そもそも、原因探しというのは良くない結果や状況にあるときにすることが多いものです。

 習字や絵画で表彰状を持って帰ってきた子どもに対し、「なぜ? 何が?」と原因を分析するなんてことは、あまりしないのではないでしょうか。ほめる、これが先にくるはずです。

 言い換えれば、原因を探して解決策を模索するという行為自体、「今のままではダメなんだ」というメッセージを暗に子どもに送ることになってしまう場合があり、さらなる不安やプレッシャーを子どもに与えてしまいかねないのです。

 原因探しはすべて悪、と言いたいわけではありません。私が伝えたいのは、親には親のタイミングがあるように、子どもにも子どものタイミングがある、ということ。ですから、親の良かれであれこれ詮索することは避けたほうが無難です。

 まず大事なことは、学校で疲れた心と身体をゆっくり休めることです。落ち着いてくれば、子ども自ら話してくれることもあります。

 子どもが再び動き出すために必要なのは、むやみやたらに原因探しすることではなく、疲れ切った心身を休める場を家のなかにつくることだと、私は思います。(『不登校新聞』東京編集局・小熊広宣)

関連記事

「僕には何もない」大学卒業を控えて焦る不登校経験者に専門家がかけた言葉

593号 2023/1/1

不登校校経験者が答えた親がすべきこと、してはダメなこと

523号 2020/2/1

子どもの摂食障害 背景にある苦悩への思いやりを

190号(2006.3.15)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

625号 2024/5/1

「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…