不登校新聞

298号(2010.9.15)

【公開】生徒の9割、いじめ経験

2013年10月10日 16:09 by kito-shin
2013年10月10日 16:09 by kito-shin


 6月28日、国立教育政策研究所は「いじめ追跡調査2007~2009」を発表した。小学4年生から中学3年生の児童生徒、およそ4800人を対象にし、6月末と11月末の年2回、計6回の調査が行なわれた。同研究所は調査結果に基づき、前回の追跡調査と同様「いじめの被害・加害はどの子にも起こりうる」とまとめた。

 「いじめ追跡調査2007~2009」では、いじめの被害と加害の有無について、その頻度を自記式でたずねる質問紙法で行なっている。「仲間はずれにされたり、無視された」「金品を盗られたり、壊されたりした」などの質問項目に対し、「1週間に何度も」「1週間に1回くらい」「1カ月に2~3回くらい」「いままでに1~2回くらい」「ぜんぜんされなかった」と、5段階で頻度を答えるというもの。この調査は年に2回行なわれるため、計6回の調査が行なわれることになる。

入れ替わる「いじめ」


 調査結果によると、小学生においていじめの被害体験が3年間(計6回)に渡って継続した児童は3名(0・4%)、まったく経験がなかった児童は164名(21・5%)だった。また加害体験が3年間(計6回)に渡って継続した児童は1名(0・1%)、まったく経験がなかった児童は172名(22・6%)だった。
 
 一方、中学生においていじめの被害体験が3年間(計6回)に渡って継続した生徒は4名(0・6%)、まったく経験がなかった生徒は231名(34・0%)だった。また加害体験が3年間(計6回)に渡って継続した生徒は4名(0・6%)、まったく経験がなかった生徒は188名(27・6%)だった。

 つまり、小学生ではおよそ8割、中学生ではおよそ7割の児童生徒がなんらかのかたちでいじめられている、またはいじめた経験があるということが明らかになった。これにより、国立教育政策研究所では「いじめはどの子どもにも起こりうるというのが、正しく客観的な事実認識である」との見解を示している。
 
 なお、今回の調査に関わった中学生は前回の調査(04~06年の調査)にも関わっていることから、小学4年生から中学3年生までの6年間にわたる追跡調査の結果分析が可能となった。それによると、いじめの被害についてもっとも多かったのは、計12回の調査のなかで11回いじめられたと回答した1名(0・2%)だった。また6年間で1度もいじめの被害体験がないと答えたのは58人(9・7%)だった。
 
 一方、いじめの加害についてもっとも多かったのが10回いじめたと回答した2名(0・3%)で、6年間で1度もいじめの加害体験がないと答えたのは66人(11・1%)だった。これにより、6年間でいじめの被害・加害体験がともに一度も「ない」と答えた生徒は、およそ1割程度だった。
 
 同研究所では「事後的に対応するという発想から、いじめが起きにくい学級や学校をつくるという未然防止への取り組みへのシフトが必要である」とし、「問題事象の未然防止に向けた生徒指導の取り組み方」というまとめを、今回の調査結果と合わせて発表している。

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