連載「仮説なんですが…」vol.18
なんだか情けない話だけれど、この歳になっても「自分に自信が持てない」ということは多い。ちょっとした文章をまとめるのでも、「だれかに叱られやしないか、軽蔑されてしまうのでは」と、しばらく手がとまってしまう。
あるいは人前であいさつしようとしても気の利いた言葉が出てこない。「あれっ、どうしよう」と、しばらく沈黙してしまい、よりバツの悪い思いをしたりする。引き受けるんじゃなかったと後悔しても、後の祭りなのだ。そんなときにかぎって、ほかの人のあいさつがやけに立派なものに思える。どうして、こんなに堂々とした話ができるのか。競いあっていたわけではないけれど、とてもかないそうにない。
自分だけがヘン?
よくよく考えれば、学生時代や就職してからも、大なり小なり、こうした「劣等感」に苛まれたものだ。自分とほかの人とのあいだで、どうして能力の差が生まれるのか。自分だけがいつも見劣りするのはなぜなのか。
それからしばらくして、ある書物のなかの、何げない言葉が目に留まった。
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