不登校新聞

486号 2018/7/15

子どもが毎日ゲームばかり 依存より心配すべき心の背景

2018年07月15日 10:30 by koguma



 不登校の子を持つ親が集まる「親の会」では、さまざまな親の心配事が話題にのぼります。最近もっともよく出る話が「子どもがゲームばかりしている」というものです。

 私の息子は20年前、不登校になりました。「フリースクールなら行けるかもしれない」と思った私は、あるフリースクールに見学に行きました。そこで見たのは、楽しそうにゲームをする子どもたちの姿でした。「ほかの子どもたちは学校で勉強している時間なのに、ゲームで遊んでいるなんてよいわけがない」と、私は決めつけていました。

 それから何年か経ちましたが、息子はあいかわらず自己否定感に苦しんでいました。ところが、あのときゲームばかりしていた子どもたちは、アルバイトを始めていたり、学校へ進学していたりと、それぞれの道を歩んでいました。

「楽しい」瞬間が大きな力になる

 そこで気づかされました。

 われを忘れるくらい「今が楽しい」と思える一瞬があること。それこそが、その子の次の一歩にとって、大きな力になるんだなって。

 子どもの身体を心配するあまり、「ゲームを取り上げたほうがいいのか」と悩まれている親御さんも多くいらっしゃると思いますが、「無理やり取り上げたら、子どもが暴れるようになった」という話を少なからず聞きます。

 親からすれば、「子どもと約束していた」「依存症が心配だから」といった理屈になるわけですが、そのまま子どもにも通じるかと言えば、そうではありません。子どもからすれば、「親との約束」というのはたいてい、飲まざるを得ない場合がほとんどだからです。

 むしろ、そこで重要になるのは、「いま、なぜゲームにのめり込むのか」という、子ども自身の気持ちに目を向けてあげることだと、私は思います。

 とはいえ、ゲーム自体に批判的な親御さんもいらっしゃるかと思います。かつては私もそうでした。そんな方におすすめなのが、ご自身で一度、ゲームをやってみるということ。

 息子の好きなゲームに『ゼルダの伝説』というのがあって、じつは私もやってみたことがあるんです。ぼやぼやしていると、あっというまに敵にやられてしまうし、推理力や地図を読み解く能力も必要です。しかも、クリアするには根気も必要です。

 こんな複雑な作業を同時にこなしているのかと、いたく感心したものでした。同時に、こうしたゲームを自由にやらせてもらっていた子どもが、心が落ち着き、何かやりたいことが見つかったときに、それまでに培ってきた判断力や集中力を発揮するのは、いたって当然のことなんだと気づかされました。

 いま、目の前でゲームをしているお子さんを、どんなふうに見つめていますか。不安な気持ちや責めるような視線を送っていませんか。そうではなく、お子さんが見ているゲームの世界をちょっぴりのぞいてみませんか。

 ゲームのことが少しでもわかると、親の不安はやわらぎます。そして、ゲームという共通の話題を通じ、お子さんとの会話も弾むと思います。



【執筆者プロフィール】

関川ゆう子(せきかわ・ゆうこ)
長男が中学3年生のときに不登校になる。以来、18年に渡って「登校拒否を考える会」(東京)に毎月参加している。全国不登校新聞社理事。

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