教育基本法「改正」が現実味を帯びてきた。基本法「改正」とは、どんな問題をはらむのか、どんな目的があるのか。2006年3月26日に開かれた「教育基本法・憲法の改悪をとめよう~3・25大阪集会」(主催・子どもたちに渡すな! 危ない教科書大阪の会)から2回にわけて三宅晶子さんの講演抄録を掲載する。
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教育基本法「改正」は、たんなる教育問題ではなく、労働、資本の問題であると考えています。「改正案」の作成過程を見ると、これまでの教育実績を検証せず、理念先行で作成されてきました。
その理念とは「現在のグローバリゼーションを勝ち抜くために、どう労働を変えていくか」という「新国家主義」「新自由主義」の理念です。
そもそも新自由主義とは何なのでしょうか。最初は「自由」という言葉に惑わされたかもしれません。しかし、この「自由」はけっして私たち市民の自由を拡大するわけではありません。
企業や資本家といった巨大な「資本」が国境を越えて労働者から搾取する自由の拡大です。資本の自由の拡大は、これまで「第3世界」と呼ばれていた国に加え、先進国の底辺層に「新たな植民地」を生むことになったのです。
05年夏の「ハリケーン・カトリーナ」(死者1300人あまり)の災害で、目の当たりにしたのが「新たな植民地」の犠牲者です。
アメリカという先進国でさえ、治水されていない地域があったために、大勢の犠牲者が生まれました。地域格差ゆえの犠牲とも言えます。
イラク戦争の兵士たちも同様です。彼らが兵士を志願した理由は「学費がほしい」「移民者なので国籍がほしい」などでした。
つまり、生活基盤を獲得するために、自分の命のリスクをおかして戦場に向かったのです。アメリカでは、こうして切り捨てられた底辺層が搾取されています。
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