2005年、北海道滝川市の小学校に通う松木友音さん(当時12歳)がいじめを苦に自殺を図り、06年1月に死亡した。友音さんの母親・松木敬子さんらは滝川市と北海道を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こし、2010年3月26日札幌地裁(中山幾次郎裁判長)で和解が成立した。和解調書には、いじめの事実認定、自殺の予見可能性の認定、さらに第三者による調査実施の必要性などが和解条項に盛り込まれた。これらの条項がすべて盛り込まれたのは、きわめて、まれなこと。

第三者の調査が必要

 
  和解調書によると、友音さんは小学5年生のころよりいじめを受けていた。そのことをたびたび担任に相談したが、担任はほとんど対応をせず、解決に至らなかった。6年生の2学期、友音さんは自殺を予告する手紙を女子児童らに宛てて書き、9月7日には、授業中、友音さんがカッターナイフを手首にあてるなどした。その2日後の9月9日、友音さんは教室で首をつり、自殺をはかった。意識不明のまま病院に搬送されたものの、06年1月に亡くなった。

 地裁は「担任らが友音さんを注意深く観察し、たがいに情報を共有していれば、いじめは認識することができた」と判断し、安全配慮義務違反(過失)を認定。そして、いじめを認識していれば「自殺することも十分に予見できた」とし、自殺の予見可能性も認定した。

 また、学校や教育委員会が、友音さんが遺した遺書7通の内容を把握したあとも「いじめを受けていたという事実は把握できていない」などと記者会見で報告したこと。第一次報告書では、松木さんの家庭は「地域との交流が極端に少ない家庭」、友音さんは「人の物をだまって見たりして、きらわれていた」などと報告したこと。これらの報告、発表は友音さんや家族の「尊厳を毀損する内容」だとして、和解条項には北海道、滝川市が松木さんらに謝罪することが盛り込まれた。

 和解条項には、今回の調査報告が不適切だったことを教訓として、北海道は、道内市町村教委に第三者による調査、または親族の意見を聞く機会の設置を指導することも盛り込まれた。滝川市は「女子児童の死をけっして無駄にすることなく、全力を挙げていじめの再発防止に努めたい」といった趣旨の見解を発表している。

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