「高校くらい出とかないとヤバい、でも行きたくない」と思っている人へ。知っておいて損はない情報がある。高校に1日も行かなくても高卒と同等の資格がとれる試験、その名も「高等学校卒業程度認定試験」(以下「高認」)だ。長ったらしい名前だが、要はこの試験に受かれば「高校を卒業した者と同等の学力がある」と認められ、大学や専門学校を受験することができる。合格証は英文発行もできるので、海外の大学を受験することも可能だ。また、履歴書にも書けるので、バイトや就職などにも活用できる。
 

どんな試験?


 受験資格は「16歳以上」であることだけ。「試験」と聞くと難しく感じるかもしれないが、高認は「40点とれれば合格できる」と言われている。試験問題も高校1年生くらいまでの内容(文科省のHPで過去問が見れる)だ。つまりハードルはそんなに高くない。ネックなのは、英語と数学がやや難しいのと、受験科目が8~10科目と多いこと。しかし高認は年に試験が2回あり、一度合格した科目は試験を免除できる。数年かけて少しずつ合格していくことも可能だ。
 
 実際に受けた不登校経験者に話を聞いてみた。Aさんは17歳のころ、フリースクールでまわりの人たちが高認のための勉強を始めたと知り「すごくあせった」という。しかし高認を取れば、「こんな自分でも大丈夫になるんじゃないか」という期待から受験を決意。勉強は何年もしたことがなかったが、「40点取れば合格」「何回でも受けられる」と聞いて、「自分でもできるかも」と思ったという。実際、最初の受験で数学と英語以外は合格。その2科目も後に合格した。しかしその後進学することもなかったため、高認資格を使った場面はないそうだ。

 Bさんは試験会場の雰囲気におどろいた。同世代の人ばかりではなく、お年寄りやおじさん・おばさんなど、年齢層がさまざま。学校っぽい雰囲気はなくて、気が楽だったという。試験は2回目ですべて合格した。
 
 Cさんは30歳のときに人から勧められてイヤイヤ高認を受験。本当にいっさい勉強せずにふらっと行ったが数学以外は合格。その後、半年後の試験で数学も合格し、現在は高認資格を使って専門学校に入学し、福祉を勉強している。
 
 3人がともに苦労していたのは、受験応募書類をまとめることのたいへんさ。願書のほかに、受験料分の収入印紙、住民票なども必要となる。これを毎回そろえ、締切日までに送付しなくてはならない。「試験よりもたいへんだった」という声もあった。書類をまとめるなんて、たいていの人はしたことがないから、たいへんなのは当たり前。ここは素直に親に協力を頼もう。多くの場合、よろこんで手伝ってくれるはずだ。
 

就職活動では

 
 ところでこの高認、就職でもちゃんと使えるのだろうか。Dさんは高認をとって「ハローワーク」にいったところ、学歴欄の「中卒」のところに○をつけさせられた。「高認を持っている」と言っても聞いてもらえなかったという。たしかにハローワークの「求職申込書」を見ると、「中学中退・卒業」「高校中退・卒業」の欄はあるが高認の欄がない。厚生労働省に問い合わせたところ、「自分があてはまる欄がない場合は、もっとも近いものに○をつければよい」とのこと。高認所持者は「高卒」に○をつけてよいのだ。
 

ここだけ要注意

 
 いざ高認にチャレンジしようと思ったときに、ひとつだけ注意したいことがある。それは「あせってやるとヤバい」ということだ。Aさんのように、まわりが始めたときにはあせる。でも、あせりながらの高認はけっこうツラい。そんなときは、「1回パス」しよう。Cさんのように、年齢を経てからでもいい(前回試験の受験者の最高年齢は70歳だ)。それに、本紙編集長をはじめ、高卒も高認も取らないで生きている人はたくさんいる。今すぐ高認を取らなくても大丈夫。将来、専門や大学に行きたいと本気で思うことがあれば、高認が必要になる。そのときまで、頭の片隅においといてもらえれば幸いだ。(茂手木涼岳)