不登校新聞

309号(2011.3.1)

請求棄却を求め、争う構え 桐生小6女児いじめ自殺裁判

2013年07月16日 12:21 by kito-shin
2013年07月16日 12:21 by kito-shin



市、県"いじめ自殺ではない"
両親"事実が知りたい"


 群馬県桐生市の小学6年生、上村明子さん(当時12歳)が昨年10月に自殺した問題で、「学校でのいじめが原因だった」として、遺族が市と県に3200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が2月18日、前橋地裁(西口元裁判長)であった。市と県は「第三者委員会が調査中で、その結果を待ちたい」としたうえで、「いじめが自殺の原因とは即断できない」として請求棄却を求めた。

 西口裁判長は「事実解明について建設的な議論を深めたい」として、論点を①いじめの存在と学校側のいじめの認識、②学校側に安全配慮義務違反があったか、③いじめと自殺の因果関係の3つに整理。それを柱に審理をすすめていくことを確認した。

 裁判終了後、遺族と原告代理人は市内で会見を開いた。明子さんの父・竜二さんは「来月には娘の同級生たちは卒業し、先生たちも異動があるなかで焦りがないわけではない。しかし、私たちは事実が知りたい。いじめと自殺の因果関係を認めてもらうまで闘い続ける」と決意を語った。原告代理人の小林勝弁護士は「事件後に行なったアンケート調査結果の開示を再三求めてきたが一向に応じず、すべては第三者委員会の報告を待ってから、というのは責任の丸投げだ」と、市と県の一連の対応について批判した。一方、桐生市は本紙取材に対し、「弁護士に一任していますので、コメントは差し控えます」と答えるにとどまった。

 第三者委員会の報告書は3月末に出る予定。第2回口頭弁論は5月20日。

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