不登校新聞

471号 2017/12/1

子どもがゲームばっかりになる2つの理由をご存知ですか?【不登校新聞・記者コラム】

2017年11月29日 09:55 by koguma
2017年11月29日 09:55 by koguma



 「朝はきちんと起きてほしい」「食事は三食きちんと摂ってほしい」「お風呂には毎日入ってほしい」。こうした「せめて規則正しい生活を送ってほしい」という親の悩みをしばしば聞いてきました。生活態度に関する悩みはご家庭ごとで異なると思いますが、えてして共通する問題として挙げられるのが「テレビゲーム」です。

 最近のテレビゲームは目まぐるしい進化を遂げています。映像はキレイだし、インターネットがあれば見知らぬ人との同時プレイも楽しめるし、メッセージのやりとりだって可能です。

 ゲームをやらない親御さんからすると、「何がそんなにおもしろいの?」と思われるでしょうし、目が悪くなるなど心身の心配も尽きないかと思います。

子どもにとってゲームは浮き輪

 私がこれまで取材してきたなかで、テレビゲームに熱中する理由については、ふたつに大別できます。

 ひとつは「本当におもしろくてしかたがない」という場合、もうひとつは「つらさをやりすごすため」という場合です。

 前者については、上述したような最新のテレビゲーム事情を勘案すれば当然の話です。ここで大きな問題となるのは、後者の場合です。

 ある子どもに話を聞いた際、「学校のことを考えたくなかったから」と語ってくれたことがありました。家でのんびり休んでいるように見えても、子どもは四六時中、学校のことを考えています。その時間が長ければ長いほど、どんどんつらくなる。でも、テレビゲームに没頭している間だけは、そのわずらわしさから離れられる、というわけです。

 心理カウンセラーの内田良子さんはこれを「命を守る浮き輪」と表現します。不登校を理由にゲームを没収したなんていう話もありますが、不安の海のなかで必死に漂っているとき、その浮き輪を取り上げたらどうなるか、言わずもがなです。

 テレビゲームは、親を悩ませる長年の悩みのタネですが、子どもの立場から考えると、テレビゲームをするには子どもなりの理由があります。したがって、頭ごなしに否定しない。たったそれだけのことでも、子どものしんどさの軽減に大きく寄与することがあると、私は思います。(『不登校新聞』小熊広宣)

 

■執筆者プロフィール:小熊広宣

NPO法人「全国不登校新聞社」事務局長。同法人発行『不登校新聞』の記者・編集者。おもな取材は不登校・ひきこもり・いじめ・自殺・精神医療・子どもの貧困など。

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