林恭子さんは不登校・ひきこもりを経験し、現在はひきこもり当事者団体「ひきこもりUX会議」代表理事をつとめる。当事者と接する現場において感じる「支援」という言葉の違和感について執筆してもらった。
私は高校2年で不登校、20代でひきこもりを経験し、その後、信頼できる精神科医や同じ経験をした人たちとの出会いを経て、30代半ばで回復に向かい今に至ります。その間、不登校やひきこもりに対してはさまざまな「支援」がつくられ提供されてきましたが、かならずしもそれが当事者の気持ちに添ったものとは思えないことも多く、違和感をおぼえてきました。
「学校復帰」や「就労」、「経済的自立」ありきの支援には「なぜ学校に行かなくてはならないのか」「なぜ人は働くのか」「なぜ生きているのか」と日々問うている人には意味がなく、より苦しみを深くするものと感じています。
そこで6年ほど前から思いを同じくする人たちといっしょに「当事者のことは当事者に聞いてほしい」との思いで活動を始めました。当事者が支援について語る「ひきこもりUX会議」や、女性だけで安心して語り交流できる場「ひきこもりUX女子会」の開催、また講演会などでお話をさせていただいています。
当事者どうし 自助会が力に
10月28日~29日、ひきこもり家族会の全国組織である「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」による「第12回KHJ全国大会in東京」が開催され、親、支援者、当事者など、のべ700名あまりが参加しました。私は初日のシンポジウムに不登校・ひきこもりの経験者として登壇し、「ひきこもりUX女子会」や「支援」についてお話をしました。
「ひきこもりUX女子会」には毎回50~80名の女性たちが集まります。「ひとりではないと思えた」「初めて自分のことを話せた」「女性だけの場なら来られる」など、孤立状態にあった女性たちが安心できる場を求めて足を運んでくれています。
とくに「女子会」のような自助会の力は大きく、実際にそこから一歩も二歩も踏み出す人が多いにもかかわらず、一般的に「ひきこもりの支援」というと、どうしても「就労支援」に偏りがちです。
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