『引きこもり狩り』というタイトルはやや衝撃的ではあるが、サブタイトルにあるように「アイ・メンタルスクール寮生死亡事件/長田塾裁判」という現実に起きた事件をていねいに検証しながら考察した内容であるだけに、驚愕するような実態がうき彫りにされている。
愛知県で起きた二つの引き出し支援施設の事件について、その経緯が事件報道や裁判記録をもとに、不登校や引きこもりにかかわる支援のあり方や更生施設の問題、マスコミの取り扱いなどが紹介されて興味深い歴史的記録書ともなっている。
編著者の芹沢俊介は、引きこもっている人を引き出すという言葉のなかにも、すでに引きこもりを否定し引き出し型支援者の存在を用意していると言い、善意の「支援」という発想の病理や暴力性を指摘している。そして「善意の道は地獄に通じる」と言い切っている。
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